2008年5月7日

ホームにて

                居眠り

                木漏れ日が差し込む

                     小野駅









10年前。
家からお洒落までの距離は、1時間半。
鈍行列車に揺られて神戸まで行くことは何よりのうれしい予定やった。

連休中の混雑もあって、京都からの帰郷は阪急三宮経由で帰った。新開地で神戸電鉄に乗り換えると景色は一変、生い茂った緑の中をくぐり抜けるように走る。山間の鉄道だけに地名も○×谷と、列車の窓から見下ろせば家々が集落を成す。なんだか、去年行ったヨーロッパの鉄道を思い出す。ヴェネチアからドイツのカッセルまでスイスのチューリッヒ経由で12時間の鉄道の旅をした。本当にハイジの山のようなきれいな山肌の麓にはオンジの家のような建物が点在していた。

木漏れ日が列車に差し込む。揺らめいてとてもきれい。家の近所に木漏れ日をイメージして立てたカフェがあるけど、やっぱり本物の光にはかなわない。
五月。10年ぶりに乗った神戸電鉄は、10年前の自分も一緒に乗っていて、当時高校生やったわたしは、こんな景色に目もくれず別の何かに没頭していた。没頭は若さの特権。

頭の中で「ホームにて」が流れる。
わたしの町は終着駅。