2008年11月28日

amnios

                       真綿







                     amnios


中沢新一の著に精霊の王という本があります。
その中に、堂々たる胎児という一説があり、どこかの地方の話ですが、子どもが生まれると扇(女性を象徴)に真綿を薄く延ばして絡ませ、神社に奉納すると言うシキタリがあるそうです。真綿、すなわち、胎児が纏っている胎衣(えな)を表し、無事に生まれましたということを神様に報告するのです。
他にもたくさんの精霊の話が出てくるのですが、その本がわたしの神社への興味を深めた大切な一冊です。

神社で祀られる対象は様々ですが、男性や女性を象るものが数多くみられるのには、今のように生き長らえる事は容易ではなく、疫病や災害に見舞われることもずっと多かった、その背景から、神様は天や石、植物、動物、胎内に宿るというように考えるようになり、人間の繁栄を願ったのでしょう。

人間は、不老不死ではなく、進化を選びました。始まりと終わりがあるのです。我々は、母体の羊水、つまり海のような広がりの中で成長し、生きるために生まれてくるのです。そして、次の世代を作るという「進化」の宿命を負っているのです。

今年の3月の個展の作品、「amnios」
amniosは、amnion=羊膜、子供が卵子から発生する過程でできるもの 語源はギリシャ語のamnos(=羊)。
そこは無条件に安逸な場所であり、「言語で記述するだけの輪郭を持っていない世界の出来事である」(吉本隆明、母型論)のです。


能書きはこのくらいにして・・。


京都市美術館別館
K2展
12月2日より7日まで。

に出品します。
DMを誰にも送らなかったのですが、良かったらお越しください。